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放課後。
帰ろうとしたとき、先生に呼び止められた。
えーっと…久本先生だ。
もう担任の名前を忘れたのかって? まあ…気にすることないさ(-_-;)
「あ、はい? なんか用スか?」
「言葉使いは正しく使え。」
「(この先生こんなキャラだったのか)なにか御用でしょうか?」
「あぁ。 お前、昔剣道やってたんだって?」
「っ!?」
「それで、剣道部に入らないかって勧誘。」
「…なんで剣道やってたこと知ってるんですか」
「まあ色々あるんだ。で、また剣道やろうと思わないか?」
「俺はもう剣道なんかやらないと決めた人間です。 丁重にお断りさせていただきます。」
「…そうか。 分かった」
「では失礼させていただきます。」
びっくりしてならなかった。
初対面の先生が昔俺が剣道をやっていたのを知っているなんて。
…それよりも剣道部に勧誘されたことが1番びっくりした。
顔から、いや全身から汗が噴き出している。
と、とりあえず落ち着こう…と思いながらも落ち着ける訳がなかった。
その日俺は友達の阿倍拓磨(あべたくま)に遊びに誘われた。
「やべーこの雑誌超いいわぁー 毎日見てても飽きねぇ。 てか常時見ていたい…」
「…エロ本がそんなに大事か?」
「そりゃ大事だろ!! 何かあったとき1番最初に持ち出す物はこのエロ本だっ!!」
「拓磨…俺は今のお前の言葉にかなりの距離感を感じた。 いや、距離を作った。」
「えーそんなこと言わずにお前も見てみろよー マジいいからさっ!!」
(そんなに力説しなくても…)
「それにしてもさー、久本、だっけ?? 何話してたんだよ」
拓磨にそう言われ、今日の出来事を思い出した。
久本のあの目。
何もかもを見透かすような目だった。
「あー、何話してたんだっけな… 忘れたわ」
そう言って、全てを誤魔化した。
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