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歩き始めて3日目の朝。
見渡す限り焼け野原になった、一つの町に辿り着いた。
私は慎重に目を凝らしながら、焼け残った僅かな残骸を確認した。
そして…確信する。
「私の町だ…」
自然と涙が出た。
私が知っているはずの町の、無惨な姿に。
何もかもが消えてなくなった、静かな町に。
私は涙を拭い、再び線路を歩いた。
こんな現状を見てしまったら、希望が薄れる。
もしかしたらあの桜も、燃えてしまったんじゃないか…
正太郎さんは、帰ってこれないんじゃないか…
ひたすら歩きながら、嫌な考えはどんどん広まっていく。
正太郎さんは…本当に帰ってくるの?
そんな時…
私の目の前を、何かが通り過ぎた。
「桜…?」
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