約束の行方

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花びらが夜風に舞う。 私は布団に体をうずめながら、桜の木を見上げていた。 もうすぐ満月になるのだろう。 少し欠けただけの明るい月が、夜桜を照らす。 「桜…お願い、散らないで。正太郎さんを待っていて。あなたが散ってしまったら、あの人は帰る場所を見失ってしまうわ」 私の小さな呟きなど聞こえないと言わんばかりに、花びらはひらひら舞い落ちる。 正太郎さん…何してるんだろう… 戦争はもう終わった。 桜の季節になった。 あとは帰ってくるだけじゃない… 嫌な予感を忘れようと、私は何度も心の中の彼に話しかける。 早く帰ってきて。 待っているから…早く… 私の祈りは届かなかった。 一週間がすぎて、桜の花は…散った。
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