Trick and goodnight! (仏)

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 時々…その子供達の行列が去った後に、再び家のドアが叩かれる。  扉を開けるとそこには同じく仮装した子供が、しかし一人で立っている。  その者も先程同じく言うのだ、「Trick or Treat」と。  大人達は差し出された小さな手に優しくお菓子を握らせ一言、「Happy Halloween」と囁く。子供は満足そうに帰っていく。  子供の噂は まことしやかに囁かれる。  かの者は、この世の者ではないのだと。  ハロウィンの仮装は誰が誰だか解らない。そんな者達が祭の仮装に紛れ込んでいるのだと。  お菓子を与えないと本当に悪戯をされてしまうから、大人達は毎年お菓子を少しだけ残しておくのだ。    そんな不思議な話もいつからとなく広まっていたが、アーサーの目的はお菓子などという子供じみたものではない。確かに様々な種類の輝かしいお菓子はこのハロウィンというイベントに欠かせないものではあるが、そうではないのだ。  アーサーの目的は他にあった。 「…にしても、今夜のために2着も造っちまったが、結局どっち着て行くかな…。あー選びきれねぇ…」  そう、彼の目的はハロウィンのもう一つの醍醐味、仮装だ。そしてそれに付随した目的がもう一つ。 「アイツはどんな格好してくるんだろ…」
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