序章

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「オヤジ!なんか拾ったぜ!!」 その声を聞いて、オヤジと呼ばれた男は振り返る。 呼んだ男――否、まだ少年、10位の少年だ。少年は背中に何かを担いで走ってきた。 「何を盗ったんだ?」 「盗ったんじゃない、拾ったんだ!」 そう力説する彼の背中には、ぐったりとした人間がいた。 少年と同じくらいの年頃らしく、しかし何があったのか体中傷だらけだ。 「オヤジ!拾ったんだぞ!?」 「分かっている…でもどうするつもりだ。連れて帰るつもりか?」 「…だ、駄目か?」 「…好きにしろ」 「あ、有り難う!!!!」 少年は嬉しそうに頭を下げる。 その時の笑顔が、とても眩しかったのが、 今も覚えている―― .
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