盗賊ギルドの1日

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えー、こちら透。 現在城の北門にて待機中。 隣にはラルクと頭。 雑談中だ。 「知ってるか?オヤジ。 隣の国にさ、昔とんでもねえ奴がいたんだとさ」 「ああ、防御力が高い人間だろ?だが死んだって話だ」 「それが生きてるらしーんだ!酒場の人間が言ってたぜ」 「噂は噂を呼ぶからな、ガセだろ」 『てかどんだけ目輝かせてんだ。眩しい』 そう言って、あたしはラルクに目潰しをした。 ラルクは悶え苦しむ。はは、ざまーみろ。安眠妨害した罰だ。 …にしても。 『ヤル気が起きねえ…』 「いつも言ってるだろ。なんだ、病気か?」 頭は仲間思いだからな、すぐ心配してくれる。盗賊ギルドの頭らしくない。 まあ、こんな性格に救われた人間は大勢いる。 だからここまでデカいギルドになったんだ。 と、馬が走る音が聞こえてきた。 「オヤジ、行くぜ」 「おう」 ラルクが縄に火をつける。それは導火線だ。 導火線を伝う火は、どんどん道脇にある爆弾に近付く。 そして―― ドオオォォン!!! 見事に爆発した。突然の事態に御者は慌てて体制を立て直そうとする。 しかし馬はそうはいかない。そのまま横に倒れ、御者の手から抜け出し、そのまま疾走して消えていった。 「おら、大人しくしやがれ!」 荒々しく御者を引っ張るラルク。ここらへんは容赦なし。 ラジルや男たちは護衛の騎士と闘っていた。 「透、今のうち…あれ?」 そこで初めて気付いた。 透がいない。 ラルクはその事実に内心焦るが、悟られないように顔を引き締めた。 「(あいつなら大丈夫だ。強いからな…)」 果たしてラルクは透が何をしてると思っているのだろうか。 ラルクは透が王の配下に攫われたとでも思っているだろう。 しかし、悲しきことかな。彼らの意向通りに沿わないのが透であり、透のスキルなのだ。 しばらくして騎士を片付け、人数点検。そこで透の帰還が遅い事に不安を覚えた。 「何をしているんだ、透は…」 ラジルが心配そうな顔をする。ラルクがぽんと肩を叩いた。 「オヤジ…埋蔵金のありかも分かった。行こう」 その意見に渋々同意すりラジル。それを見て男たちも苦そうな顔をした。 .
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