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ラジオ体操が終わり整列が完了してから…体育の先生が前に出て演壇に上がります。
先生から大会の概要説明があるので、生徒全員に座るよう指示がありました。
みんな体育座りの姿勢になり説明を聞きます。
内容は大会の進行の概略と熱中症対策として各自、水分補給を怠ることがないよう等の指示でした。
私は麦茶のペットボトルを持参してましたし、ちぃちゃんは大きな保温性の水筒を肩に背負っていました。
先生のお定まりの説明の間、私は委員長の脇阪クンの後ろ姿を、ボーっとして眺めていました。
彼は全校女子の憧れの的です。
私も、密かに片思いしてました。
でも、いつも仲良しグループの中心にいる彼と面と向かって話す機会など皆無でした。
彼が委員長として男子の最前列に並ぶ学校行事の時だけ、私のすぐ目の前にいてくれます。
でも副委員長の春日野サンが必ず脇阪クンの隣にいるのです。
私は、学校行事の度ごとに2人の楽しそうな談笑風景を目の当たりにすることになります。
でも、とてもお似合いだし……春日野さんの性格の良さから嫉妬する気も起こりません。
総てに秀でてる春日野さんには私の勝ち目など毛頭ないのですから…ある点を除いての話ですが…
私は脇阪クンのこと、片思いするだけで……それ以上のことは考えもしませんでした。
近くにいて脇阪クンの美しい横顔が眺められるだけで、私は幸せでした。
私の中学時代は脇阪クン以外の男子は眼中になく…彼一筋だったのです。
もちろん、モテモテの脇阪クンが地味な私のことを、まるで意識してないことぐらい……はっきり認識していました。
私の初恋は片思いで充分と思っていたのでした…… その時までは …
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