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仰向けになって倒れるタケル。
スサノオは戦いが終わり、剣を鞘に収める。
そしてスサノオはタケルに近寄ってきた。
そしてタケルの前にしゃがみ、介抱するように優しく抱く。
スサノオの瞳は慈愛に満ちていた。
「タケル…いやヤマトヒメ、あんたも自分の心に葛藤し、苦しんできたんだよな…」
優しく言葉をかけられタケルは哀しげな瞳をスサノオに向ける。
「何故私に憐れみをかける、私はお前達を散々苦しめてきたと言うのに…」
タケルの瞳はヤマトヒメそのものだった。
タケルは今、ヤマトヒメと言う本来の一人の女性に戻った。
「理解しているさ、あんたの気持ち、確かにやってきた事は許される事じゃない、でもあんたは戦っている時、俺に本音を言った、あんたに無いものを俺は全て持ってると」
誰かを羨む事はスサノオにもある。
高天原にいた時、アマテラスに慰められた時の事だ。
スサノオはアマテラスに憧れを抱くと共に嫉妬に苦しむ事もあった。
13歳の時、反抗期のためか、アマテラスに慰められるのを嫌い、反発した末、愛犬のオツキと共に国を出た。
そして強くなりたいと願い、自然の中で自分を磨き、今のスサノオとなった。
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