戦乱

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しかし、不意打ちによる動揺で攻撃もままならない兵士達はオウスの軍勢に押されてしまう。 そしてタケル率いるオウスの軍は オオウスの兵士のみならず、女性や老人、子供をも容赦なく巻き込んだ。ヤマトタケル含む部隊は、全身に紅色の水を浴び、手に持っている剣も真っ赤に染まった。 ヤマトタケルは、オウスに戻り、母君にオオウスを奪った事を報告した。 「母上、只今オオウスの国を奪って参りました。オオウスの国は我々オウスの手中に治められます」 「よくやったタケル、部屋に戻り、休むが良い」 きらびやかな衣装を身に包み、冷徹な笑みを我が子に向け、母君は言った。 そしてタケルは部屋に戻り、みずらに結っていた緑色の髪を垂らし、鎧を外し、血や泥や汗で汚れた体を洗い終えると、布団に横になった。 暗闇の中、人影がタケルの前に現れた。 その人影は今は亡きヤマトタケルの姉、ヤマトヒメのものだった。 容姿はヤマトタケルと瓜二つだが、温和な表情で優しそうな雰囲気はタケルとは似ても似つかない。
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