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ヤマトタケルには一人の姉がいた。
とはいっても過去の話だが、その姉はヤマトタケルと違い、争いを好まず、何より平和を望んでいた。
しかし、父を追うようにその姉がいなくなってから、母の人格は変わり、オウスを独裁的軍事国家にしてしまったのだ。
ヤマトタケルも、母のやり方は間違っているとわかっていた。しかし、母が国を治めている以上は母の命令は絶対、タケルは母の命ずるがままに各地を襲う選択肢しか他は無かった。
タケルはこうしているうちに、感情も、父や姉に対する思いも消えていった。
……はずだった。
ヤマトタケルは暗闇の中に女性の姿を見た。
ヤマトタケルに似ているが、目は死んでいない、美しい衣装のまた似合う、美少女だった。
「ヤマトヒメ…貴様…」
タケルは彼女に鋭い視線を向け、毒づいた。
「タケル…戦うのをやめて!あなたはそんな事の出来る人じゃなかったはずよ!!」
ヤマトタケルの姉、ヤマトヒメの幻影は懸命に説得した。
「くそ、ヤマトヒメの亡霊め、まだ俺のやり方に介入をするのか!」
ヤマトタケルは刀を抜いた。ヤマトタケルはその刀をヤマトヒメの幻影に向け、降り下ろした。
ヤマトヒメの幻影は姿を消したが、その幻影は、タケルの後ろに再び現れた。
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