悪夢のはじまり其の弐

11/11
67人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
そして、シロはそこに寝転がったまま、動きもせず、吠えなかった。 ヤマトヒメの美しい顔に赤い物がついた。 皇后はにまりと笑った。 「ヤマトヒメよ、貴様の意志、わらわにもよく伝わったぞ!」 そして、召使いにシロを片付けさせ、皇后はヤマトヒメに言った。 「さあ、この鎧を身につけるが良い、そなたはこれよりヤマトヒメの名を捨てるのじゃ!」 ヤマトヒメは今持っている着物を脱ぎ、鎧を身につけ、綺麗な緑色の長い髪をみずらに結った。 みずらとはその時代の男や兵士が結っていた髪型で後ろ髪や両耳に輪を作るように髪を結った髪型である。 「そなたはこれより[ヤマトタケル]と名乗れ、わらわの忠実なしもべとなるのじゃ!」 皇后は声をあげた。 そして、ヤマトヒメは自らをタケルと名乗り、ヤマトヒメを死んだ姉として封印してしまった。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!