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場所は代わり、滝が流れる湖の中から、大きな物体がザバーンという音を立てて飛び跳ねた。
その中からは大きな魚を手で掴んだ若者がいた。
ライオンの鬣(たてがみ)を思わせるダークブルーの髪にスリムだが筋肉が引き締まっていて肌も焼けていて健康的な身体つき、太い眉毛に三白眼の青年。
彼の名はスサノオと言う。
「食料は集まったかな?」
スサノオは石の置いてある食料を確かめる。
「へへっ、いい感じだぜ!」
そのそばには一匹の可愛らしい柴犬が見張りをしていた。
「わん!わん!」
柴犬は早く食べたいと言わんばかりに吠えだした。
「ははは!オツキも早く食べたい気持ちもわかるけどもう少し待ってな!新しい客人もいるわけだし」
スサノオは笑いながらオツキと言う柴犬をたしなめた。
そこから数百メートル離れた庵(いおり)にスサノオの住まいがあり、その中に新しい客人がいた。
長い緑色の髪の毛を伸ばし姫のような美しい顔立ちの少年、しかし身体中傷を負っていて、そのため傷部には包帯が巻かれてある。
その人物はあのオウスの国から逃げ出したタケルと言う少年だった。
タケルは唸りながら表情を歪ませていた。
うなされているらしい。
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