1950人が本棚に入れています
本棚に追加
.
柔らかな日差しが眠気を誘う、気持ちの良い午後。
昨夜勉強しすぎて寝不足の僕には少し辛い。
古文の先生の口から永遠に繰り返される意味不明な昔の言葉は、眠り魔法の呪文にしか聞こえない。
「おはよ」
「んあっ、」
反射的に口元を拭いながら顔を上げると、スポーツ刈りの頭で眩しい笑顔を向ける奴と目が合った。
「…康明……あれ?授業は…」
「終わったよ。珍しいな、悠介が居眠りとか」
僕は見事魔法にかかり、眠ってしまっていたらしい。
そういえば、我に返ってみると周りは皆帰り支度を始めているようだ。
「うわっ、恥ずかしい。寝てた」
「別に恥ずかしかないよ。和幸はいつも寝てるし。
てかまだ寝てるよ、あいつ。」
康明は呆れながら和の元へ歩いて行った。
.
最初のコメントを投稿しよう!