1950人が本棚に入れています
本棚に追加
.
「わ、マジで檜山?うける」
身を屈めてあはっと笑う斎藤君。
あれ、いきなり呼び捨てなんだ…ていうか、何で僕うけられたんだろう?
「面白い…?」
「は?いやいや、別に面白かないけど。
マジ変わるもんなんやねーと思ってさ。」
面白いわけじゃないけど、うける。って…何だか日本語って難しい。
「早く教室いくべ」
「え、待っててくれたの?」
「おー。
だって、激変した檜山を早く見たかったから~♪
教室じゃお前の話でもちきりだべ」
…えぇっ!?僕の話で?
なんで……
足が動かなくなった。
僕は注目なんかされたくないんだ。
それなのに…
「どしたー?顔真っ青」
立ち尽くして動かない僕を無邪気に覗き込む斎藤君。
「…いや、ごめん…なんでもないよ…」
これ以上、親しくもない斎藤君に迷惑かけちゃいけないと、重い足を動かした。
正直、教室に行きたくない。
帰りたい。
髪を戻したい。
以前の僕に戻りたい…。
けど、そんな事は無理だという事は解ってる。
だから僕は今、教室に向かうしか道は残されていない。
.
最初のコメントを投稿しよう!