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僕は座ったままなのに皆立ったまま囲むから、なんだかイジメられてるみたいだ…
けど。
気持ちはそこまでは落ちなかった。
だって、高橋さんがさぁ、笑いかけてくれたんだよ?
嬉しさがまだ持続してる。
「ぐふふ」
「え、何…」
小声で笑いが漏れてしまったらしい。
僕の一番近くに居た男子はそれを聞いて引いていた。
ごめんね、怪しくて。
けど、笑いがとまらないよ。
注目なんかされたくない。
地味に行きたい。
本来なら注目されて気持ちは落ちる一方なはずなのに…
高橋さんの笑顔がこれ程力をくれるなんて。
「高橋さんに……恋、してんじゃない?」
やっとなった昼休み。
休み時間の度に囲まれていたのにしつこく囲まれようとされたのを、和と逃げるように屋上へと避難した。
そこで和に高橋さんの事を話すとそんな事を言われて…頬張っていた卵焼きを吐き出しそうになったが、必死に飲み込む。
「こっ、恋って…!」
「いや、そうだって。
しかも笑いかけられたとか…悠介格好良くなったし、もしかしたら高橋さんも…」
「いやっ、そんな調子のいい話なんてないよ…!」
本当、そんな少女マンガのような展開なんて、現実にはそう簡単にはならないだろう。
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