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ある春の一日
江戸の町より約90里ほど離れたとある茶屋で二人の旅人らしき人物が茶を味わっていた。
「団子が美味しくて花も綺麗…
今日はいい日だねえ」
「そんな事言ってる場合じゃないよ、兄さん。早く城に行って上様に謁見しないと」
肩に少しあたるくらいの髪をした女が隣にいる男を睨む。
「大丈夫だよ雪子。上様は僕達にのんびりしてこいと仰った。これも上様の命の一つなんだよ」
睨む女に気にするでもなく男はふわりと笑った。
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