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『初めまして、白河桜と申します、残り少ないですが宜しくお願いします』
担任の隣で自己紹介している女、白河桜
俺の知ってる白河桜、間違いない、間違える訳がない。
「うわぁ、可愛い…」
「栗色の長い髪だなんてお人形さんみたいっ!!」
「彼氏居んのかなー」
「みなさん、おしずかに。…ではあいてるせきは…ちょうそかべくんのとなりですね」
そこで一斉に俺に視線を向け、逸らしていくクラスメイト共。そして嫌でも耳に入ってくる話し声
「げ、長曽我部かよ…」
「よりによって長曽我部君の隣だって…白河さん転入早々可哀想…」
「いい人だけどあんまりオススメしないよね」
ガンッ!
俺が机を蹴飛ばしたことによって教室に騒音が響く。ぴたりと話を止めて静かになる教室………なんだよ、気にくわねェ…
教室を出ようとした時に教師の声が聞こえたが構うもんか
(桜……)
あのまま静かな教室かと思いきや賑やかを取り戻す教室、あのまま彼が帰ってくることはなく放課後になってしまい何人かに一緒に帰ろうと誘われたが丁寧に断りいつの間にか一人教室に残されてしまった
一人になればふと善意で言ってくれたクラスの子の言葉を思い出してしまう
「あんまり長曽我部君は気にしなくていいよ白河さん」
「そうそう」
「いわゆる問題児ってやつ?悪さしたり、女の子とっかえひっかえとか」
「アイツ顔良いから悪いことしても女寄り付くから羨ましいぜー」
「つかアイツ手下には慕われてるみたいだよな」
「いい人なのか悪い人なのか良く分かんないね」
『…………』
私の知っている、私の会いたい「長曽我部元親」は目の前に現れたのにどうして喜べないんだろうか
あぁ、きっと疲れてるから感情が鈍ってるんだよ。きっと絶対そうだよ
ガラララッ
『!』
静かな室内に突然教室の扉が開く音が響けばぴくりと体を震わし振り向く
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