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薄暗くなった路地をゆっくりと歩く私
やっぱり時間が経っちゃうと人って変わっちゃうんだよね。……そうだよ、ずっと仲良しなんて無理だよ、ましてや男女になんて
元親くんはもう私のこと嫌い、なのかな
『……っ!』
いきなりめまいに襲われ視界がぐらぐらと揺らぐ
『…っ…おさまった…』
疲れてるのかな、私
そりゃまだ初日だもん、でも何でこんな急に…頭痛もひどいし風邪かな?
家に帰ったらしっかり予防しなきゃ、早々風邪だなんてシャレにならないし
***
『ただいまー』
「あらおかえり、元親くんのお母さんがいらっしゃってるわよ~」
『え?そうなの?』
帰宅し玄関で靴を脱いだと同時に母が出迎えてくれてリビングを覗けばニッコリと私に微笑みかけてくれる元親くんのお母さん
「あら桜ちゃん…!!まぁ、すごい美人さんになっちゃって…」
『あはは、そんな事ないですよ』
「……」
『……おばさん?』
「元親に会えた?」
『………はい』
「あの子、変わってたでしょ?
ちょうど桜ちゃんが引っ越した後くらいにおばさんの仕事が忙しくなって家を空けるのが多くなっちゃって…それでみぞが出来ちゃったの。」
もう口も聞いてくれないのよ…と寂しそうに呟くおばさんを見た瞬間、私はその場から立ち上がった
「ど、どうしたの?」
『元親くんはもう帰ってますか?』
「えぇ、私が出かけるちょっと前に」
『……私行ってきます』
「えっ!?」
再度足を玄関に向け歩き出せばお茶の準備をしていた母とばったり廊下であう
「あら、どっかに出かけるの?」
『うん、元親くんのトコに行ってくるよ』
「ふふ、行ってらっしゃい」
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