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ピンポーン‥
ピンポ───ン‥…
……なんだよ、うるせェな。…あ、そういやおふくろ出掛けたんじゃねェか
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンっ!!!!
ちょ、どんだけ鳴らすんだよ!?どこのどいつだっ!!
「うるせェっ!!んな鳴らさなくても分か…っ」
『…こんばんは』
「さく…白河…」
そこには桜がうつむきたたずんでいた
『も……かくんの…』
「あ?」
『元親くんのバカぁぁぁぁぁあっ!!!!』
「いってぇぇえっ!!」
一瞬にして右頬に激痛が走った
コイツ…っ!グーで俺の右頬殴りやがったっ!
『バカっ!!バカぁっ!!親不孝者っ!!不良っ!!』
「は…っ!?おま、何泣いて…」
***
俺をポカポカと殴りながら鳴き始める桜に困った俺だがさすがに時間を考えひとまず家の中へ
「……何だよイキナリ。学校で言った事忘れたわけじゃねェよな…?」
『…』
「それに俺はお前が…嫌い、大っ嫌ェだよ」
『…いいよ』
「あ?」
『私は嫌いでもいい…大嫌いでも構わないよ。…だけどさ、お母さんとは仲良くしてっ!!だって世界でたった一人なんだよっ!?』
「…」
『………寂しかったんでしょ、ずっと家で一人だったから』
「っ!…ち、ちが…」
『辛かったよね…っ!!』
「…」
再び泣き始める桜、服のすそでごしごしと目元をこすり、唇を噛んで声を殺している姿が痛々しい
なんで…
どうしてお前自分の事じゃ泣かねぇのに他人の事で泣いてんだよ、泣けんだよ
しかも学校であんな事いっちまったじゃねェか
俺が嫌いだろ?嫌いになったろ?
『…ごめんね…ただ親は大事にしてほしいから。元親くんは……それが出来るのを知ってるからおばさんから話聞いて居てもたってもいられなくなっちゃった……本当にごめん』
「…」
『あと…元親くんが私のこと嫌いでも私はずっと好きだよ、元親くんは優しいから…』
「!」
俺の中で渦巻いていた黒い何かがスーッと引いていくと同時に一気に罪悪感が体の中に入り込んでくる
桜は俺のこと忘れていた訳じゃない、なのに俺は一人だけ騒いで傷付けて…最低じゃねェか
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