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「………悪かったよ、学校の件」
『え…?』
「放課後の…………本心じゃねェから、なんつーか…って何でまた泣いてんだよっ!?」
『ぐず…っえへへ、だってまた仲良くしてくれると思ったら安心しちゃって……あーダメだね』
涙を拭きながらニコッと笑う目の前の幼馴染みに胸が高鳴る。これは…昔も感じた胸の痛みだ
「なんか飲みモン持ってきてやるよ」
『あー、ありがと』
まぎらわす様に口実をつくって部屋を後にする元親
***
下に降りて冷蔵庫にあったオレンジジュースをグラスにそそぎ、何かつまみになるお菓子を探していれば玄関から音がして足音がこちらに向かってくる
おふくろ帰ってきたのか
「ただいまー、桜ちゃんのお母さんと話し込んじゃった」
「……おかえり」
「!」
俺が返答すれば目を見開きこちらを見つめるおふくろ……失礼じゃねぇか?
「…なんだよ、物珍しそうにしやがって」
「や…だっていつも返してくれないからビックリしちゃって…」
「桜に…怒られたんだよ。"親は大切にしろー"ってな……………おふくろだって忙しいのにワリィ」
「!もと、ちか…」
「…」
何だか照れ臭くなってしまった俺はポテトチップスを掴んでグラスがのっているお盆に置けば二階に向かう、その際におふくろが嬉しそうに俺を見た
………久々に見たな、おふくろのあんな顔
そう考えてしまえばどれだけ俺が周囲に子供じみた事をしていたかと必然的に脳裏をよぎる
***
部屋に入り次に見たものは俺のベッドに頭を伏せている桜
「…………」
『………』
寝 て や が る
ったく何を考えているんだこの女、幼馴染みだからって俺だって男だしよ。何もしないとでも思ってんのか?……って違う、別にコイツに手ェ出したいとかそんなんじゃねぇぞっ!!
ただ……な?こんだけ爆睡されちゃ異性として見られてねぇじゃん
「……馬鹿野郎」
桜は昔から寝たら朝まで起きない奴だからどうやら今夜はざこ寝決定、か
ただ今の俺は気分が良いから許してやるよ
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