喪失

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喪失

帰宅し、ドサリとベッドに体を預ければ携帯を開く。するとおふくろからの着信が5件もあった ………めずらしい それもありおふくろにかけ直そうと通話ボタンを押し耳にあてがえばプルル…と機械音が鼓膜を通り、俺の脳内に入っていく 「もしもし、元親っ!?」 「俺だけど。…おふくろ何焦ってんだよ」 「桜ちゃんが……っ…桜ちゃんが…っ!!」 桜の名前を聞けば無意識に手が震え汗ばんでくる、やべぇ…声まで震えてそうじゃねぇか 「…桜がどうかし…」 「トラックに跳ねられて病院に運ばれたのっ!!私は今桜ちゃんのお母さんと付き添ってるけど……桜ちゃんのお母さんもショックが大きいみたいで…」 「…さく…ら…が…?」 「それでね、元親に伝えたい事があるの」 「あ?んだよ…」 「桜ちゃんが退院するまで桜ちゃんと一切関わらないでちょうだい」 「!?」 「お母さんだってこんなこと言いたくないのよ…っただちゃんと訳があ…っ」 「ふざけんじゃねェ!!」 「!」 「おふくろが何て言おうと俺は会いにいくっ!!」 「あのね、傷つくのは元親なのよ?」 「うるせぇっ!!関係ねぇっ!!とにかく誰に何て言われようが俺は行かなきゃ…行かなきゃいけねェんだよっ!」 「…」 プツリ そこで会話は終了し携帯を閉じる、そして次に最寄りの病院をしらみ潰しで電話していく そして 「白河桜さん……あぁ、3階の305号室にいらっしゃいます。…あの、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」 「長曽我部元親です」 「!……あ、えっと…少し待っていて下さいね」 看護婦が慌てて電話を保留にし、保留が消え声が聞こえたかと思えば先程より少し低く、歳をとったような女声が聞こえる 「お電話代わりました、白河さんの担当医の者です。そちらは長曽我部さんで?」 「…はい」 「……正直に告げると今の白河さんに長曽我部さんを会わせる訳にはいきません…というより、おすすめはしません…でしょうか」 コイツも、コイツもおふくろと同じことを言うのか。ただ違うのは… 「すすめない、とは?」 「……今の白河さんの状態は目で確かめるのに越したことはないんです。が、傷つくのは貴方…長曽我部さんですよ」 それでも… 「それでも桜に会いたい、会わせてください」 「……分かりました」
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