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「桜さんは……いわゆる記憶喪失というものです」
あの後、事情を説明してくれるという担当医の申し出により元親と担当医は一旦席を外し医務室内にて椅子に向かい合わせで座っている
「外見は奇跡的に怪我をしてないんですが頭を強打したみたいで…。目が覚めた時はパニックを起こしお母様や自分の事が分からない様子でしたが正気になるにつれて名前などを出せば普通に誰かとか分かるくらいに思い出していったんですが…」
─『長曽我部…元親くん?』─
─「そう、これは簡単な質問よね」─
─『…』─
─「………桜?」─
─『どうしよう…誰だか分からない…』─
─「「!?」」─
つまり俺だけ桜の記憶から完全に消えてるってことか?……なんだよ…それ…
「あなたを思い出そうとすると頭痛が起こるみたいなんです」
何か心当たりはありますか?と担当医が聞いてくるがショックが大きく全く耳が音を拾わずその質問を俺が答えることはなかった
「……では…」
沈黙を肯定だと悟った担当医は特にそれを追及せず違う話をふろうとする
「のち、桜さんと面会しますか?それとも退院を待ちますか?」
「……俺…は」
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