30人が本棚に入れています
本棚に追加
赤いランドセルと黒いランドセルが並んで道を歩いている
それはもちろん白河桜、長曽我部元親である
2人は小学校に入学し既に3年という時が過ぎているが仲のよい関係は続き、時には喧嘩もするが仲直りをし今日この日まで過ごしていた
『……』
「最近、元気ないね」
『そうかな?』
「うん」
どこかぼんやりして浮かない顔の桜、今日だけではない、既にこの感じが1週間続いている
しかし桜の家の前に停車しているトラックと車が視界に飛び込めば言葉を失う元親
「桜、元親くんに挨拶はしたの?」
『…』
「どういう、事ですか…おばさん、どういう…っ」
混乱しながらもその言葉の意味を、状況を把握しているのに問いかける元親の姿が痛々しくしばらくだんまりとしていた桜の母だがやっと口を開く
「…ごめんね…桜は引っ越しするの、だから今日でお別れ」
「…っ!」
『ごめ…っなさ…!だって元親くんとお別れなんてわたししたくないもんっ!っぅ…でも言わなきゃ言わなきゃをずっと引きずって…っ本当ごめんなさ…っぃ!』
ぐずぐずと泣き崩れてしまう桜、しかし桜の母は案の定想定内だったらしく黙って見つめているだけ
最初のコメントを投稿しよう!