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違う! カーネルサンダースはフライドチキンよ!
由美子は、声には出さず胸の中で叫んだ。
「ネルソンです。ジョージ・ネルソン」
「そう、そのひと。さすがですよね。目のつけどころが違う。時計を目の形にしちゃうだなんて、発想がずば抜けてる。ユニークでいいですよね。でも、値段がねえ」
と孝夫が解ったようなことを言うので、この老練な係員のセールストークに乗せられては困ると、由美子の心中はハラハラドキドキものなのだ。
「ええ、確かにお安くはないですね。それだけの価値があるからです。誰もが気軽にお求めいただける価格ではありませんね」
「うーん、10万円ではねえ。壁掛け時計にそんなには」
「ですがお客様……時計というものは実はお客様の生活の内容を変える不思議な力があるのです」
と係員は意味深長なことを言う。
「ホントですか?」
「本当です。こちらの時計はあなた様のところへ行きたがっているのかも知れませんよ。この仕事を長くやってますと、なんとなく判るのです」
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