時計

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「じゃ、じゃあ俺はあそこのホビーの店を覗いてるよ。いいだろ?」  孝夫がヘリコプターを見つけたのだ。ラジコンヘリコプターは夫の趣味で長く続けている。ぬいぐるみの横から嬉しそうに笑いかけられたら駄目とも言えない。 「少し見るだけなら、いいわよ。でも、勝手に買ったら許さないからねっ」 「わかってるよ。見るだけだよ」  孝夫は、もう歩き始めている。 「10分経ったら、催事場に来てね」  孝夫が手を上げて大きく頷いたのを見届けてから、由美子はインテリアの催事場へ入った。  まず、眼についたのは姿見だった。壁に沿って大きな鏡がズラリと並べられた図は壮観である。照明を鏡面で反射させて、その場所は一際、光彩を放っていた。  値札の金額はそれほど高くはない。それらに自身の姿を映しながら、ゆっくり眺めて行くと奥にはドレッサーが並んでいた。  ドレッサーに関心のない女性はいない。  由美子は手前から順番にスツールに腰を下ろして、鏡の映りぐあいや使い勝手を確かめ始めた。
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