WARM・UP

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「おい、いい加減に起きろ」 声を掛けられて、目を覚ます。 「あ~、先生、授業終わった?」 「…もうホームルームまで終わった」 隼人は呆れた様子で真陽に言った。 「流石に寝すぎたかなぁ」 「学校舐めてんのかコラ」 若干の怒気を含ませた隼人は、真陽の前の席に座ると向かい合った。 「もう、一年経ったぞ」 「またその話ですか?」 真陽はうんざりした様子で隼人に答える。 外からは、部活生の声が聞こえてくる。 「もうとっくに脚は治ってるんだろ?」 「…おかげさまで」 真陽がズボンの裾を捲ると、足首に3㎝程の切り傷が見えた。 「痛みは?」 「大丈夫だよ…雨の日は痛いけど」 隼人は、そうか、と呟くと、真剣な眼をした。 「月斗は待っているぞ?無論、俺も梨歩ちゃんも」 「教員が生徒をちゃん付けすんなって」 真陽は笑いながら話を逸らそうとする。 が、隼人はそれを許さなかった。 「月斗達は知らないかもしれないが、社会人チームでは随分暴れてるみたいだな」 「先生も人が悪いな」 真陽は、ため息をつく。 「ちゃんと考えろ。梨歩ちゃんとの約束もあるんだろ?」 隼人はそれだけ言うと、机の上にA4サイズの紙を置いた。 「じゃ、また明日な」 教室を出た隼人は、そのまま職員室に歩いていった。 「約束ったって…なぁ」 真陽はA4の紙を取る。 そこには、真陽の名前と隼人のサインと共に「入部届け」と記されていた。 「用意周到だこって」 紙を折り畳んで鞄にしまうと、真陽も無人の教室を後にした。
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