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「うは~、もう、無理だよ」
「だらしねぇな」
真陽と夕陽の二人はフロアに大の字に寝そべっていた。
「兄さんこそへばってるでしょ」
「るせぇ…」
真陽は、上半身を起こすと額の汗を拭った。
「お前をバテさせる位までにはなったか」
「自惚れじゃなくて、僕、体力ある方だよ?」
夕陽も体を起こすと、少しだけ寂しい顔をした。
「部活、隼人先生に誘われてるんでしょ?」
「…」
「月斗先輩も待ってるよ?なにより…」
「分かってる」
沈黙していた真陽が夕陽の言葉を遮った。
「梨歩が待ってくれてる事は知ってる…先輩が気にしてくれてるのも分かる…けど」
「お前は、急に入部した2年生にレギュラー取られたらどう思う?」
確かに、3年間頑張って部活を続けて来て良い気はしないだろう。
実力…と言えば聞こえはいいが、特待生制度の無い県立高校でその考え方を持っている生徒は少ない。
「それなら大丈夫だよ、兄さん」
夕陽は真陽に向かい明るく言った。
「あ?」
「試合が近くて月斗先輩が厳しくなってから、5人残して全員辞めちゃった」
……
「はぁあ!?」
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