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事務所が開設されてから3日目の朝、全くと言って良いほど依頼者は来ない
元々街が平和っていうのも災いして凄まじいまでの赤字を記録しようとしていた。
「ちょっと瞬?暇ならビルの前掃除しといてよ?」
舞は飼い犬のベンに餌をやりながら言った。
「う~い・・・てか、なんで犬がいるんだよ!!」
恐らく大多数の人が感じたであろう疑問を瞬が代弁するかのようにぶつけた。
しかし舞は動じず
「なによ、飼い犬を連れて来るくらいいいでしょ?私の唯一の楽しみなんだから」
「・・・その楽しみが1番財政を圧迫してるだろ・・・」
瞬の言う通りである。
なぜならベンの寝床は明らかに瞬が寝泊まりしている部屋のベッドとは格が違った。
高級木材を使った犬小屋、中には低反発のマット、餌も人が食べる物と大差ない程にリッチだった。
しかし、その言葉を呟いた刹那、
「何か?」と舞が額に青筋をたて、満面の笑みで返してきた。
明らかに爆発寸前である。
「い、いえ!何でもありません!!あ、掃除ですね!?喜んで行かせていただきます!!」
「よろしい」
「・・・はあ・・・」
どうやら舞に逆らうと色んな意味で寿命を縮める事になるようだ・・・
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