Chapter-1-

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「あーあ、びしょびしょじゃん!また舞姉ちゃん怒らせたんだ」 そう言って笑いながら一人の子供が歩いてきた。 いや、歩いてというのは語弊がある。電動の車椅子に乗って近づいてきたと言った方がいいだろう 年は10歳くらいだろうか 見た目は大人しそうで いかにも病弱とでも言えるような それでいて雰囲気は決してそれを感じさせないほどの少年だ。 「よお、昭義!いや~急に舞が水ぶちまけやがってねぇ・・・俺はただここに腰掛けて、目をつむって、うつらうつらしながらとある世界に旅立とうとしてただけなのに・・・」 「それを寝てるって言うんじゃないの?世間一般は」 昭義はそう言って笑った。 昭義は元から車椅子生活を余儀なくされた訳ではない。 半年前に交通事故に遭い 現在は歩く事すら困難なのだ。 立つことくらいはできるが、とても一人で歩く事はまだ出来ない。 手術は成功し、もうすぐ歩けるようになるらしいのだが、一向にその気配は無い 「うっせぇよ!とにかく俺は寝てない!!てか昭義・・・どうしたんだ?こんな朝早くから」 「・・・ちょっとね」 「・・・?なんだよ?あ!分かった!!彼女か?彼女とデートか?お前も隅に置けんなおい!」 「違うって!あ、そろそろ行かなきゃ!!バイバーイ!瞬兄ちゃん!!」 「おう!!頑張れyおわああああ!!」 そう言って瞬は倒れ込んだ。 無理も無い、またも2階から大量の水が降ってきたからだ 「掃除しろって言ってんだろがこのなまぐさ野郎があああああ!!」 早朝の町に舞の怒号が響き渡った・・・
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