豹変

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 バトゥー・イッピケが登校するようになってから3日もしないうちに、妙な事件が起こった。  その日、給食で出たウェザッホが、食べ掛けのままサザッテのロッカーから見つかった。サザッテはそれを見るなり、気色悪い感じがして悲鳴を上げた。彼女は給食を残していないので、誰かが故意に入れたものだということはすぐに分かったのだが、学級の中で食べるのが一番遅い事で有名なアオンキでさえも真剣に首を横に振るのでなかなか犯人は見つからなかった。担任教師のガッシヤは、学級会で生徒全員に呼びかけた。 「みんな、先生がいいというまで目をつぶっていてくれないか。いいかい。よし、みんな目をつぶっているな。先生は誰がやったのか黙っているから、正直に答えてくれ。サザッテさんのロッカーにウェザッホを入れた人は、手を挙げて」  突然、叫び声が上がった。 「うあーっ!」  気違いのような声を上げて、急に教室を飛び出していったのは、バトゥー・イッピケであった。彼は全速力で廊下を駆け抜け、階段を駆け下りて一番下の階の隅の方で怯えるようにしてしゃがんでしまった。この行動により、残飯事件の犯人がバトゥーだということが、生徒全員にわかってしまった。サザッテは、バトゥーのやったことに怒りを通り越して呆れてしまい、それが余計に彼を軽蔑する理由になった。
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