悪夢

2/5
前へ
/34ページ
次へ
  寝て観る夢の心地よさに溺れ、起きた瞬間、それが夢だったことを口惜しく感じ、夢の回想をしたことは誰にでもあると思う。だが夢は必ずしも、自分にとって都合のよいものとは限らない。思い出したくない過去、出会いたくない人物、表現しがたい奇妙な現象など、誰でも見た事はあるだろう。それは人間の思念の中にあるものが、必ずしも希望や歓喜だけではなく、純粋な不安や畏怖、いやもっと単純で原始的な恐れも含まれているからであろう。少なくとも、一時も恐れを抱かずに人間が一生を終えることはないのだから……。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加