新人類史

4/4
前へ
/34ページ
次へ
 ガラン・ガランドウの教えが「イドゥ」の世界に与えた影響が大きいのは、思想によるものだけではない。一つは教主ガランの行動力が、世界各国の指導者、教育者、思想家などとの会談を進めようとした結果がある。これは、政治権力などとの癒着による教団の安定を図ったわけではない。指導者層との対話による思想への理解を目指したものであるというのが、のちの宗教研究者、歴史家の結論である。もうひとつは、教主ガランが亡くなってから100年以上ものちの事ではあるが、民間の平和団体との連携による、反戦運動や平和維持団体設立への支援活動を行ったことによるものである。だが、当時のガラン教団は腐敗しかけていた面もあるため、これには異論を唱える歴史家も少なくない。  決して順調な歴史を経てきたわけではないが、ガラン歴180年代を迎えることには、「イドゥ」世界に戦争と軍備が全廃されるに至った。この結果からガラン教団の果たした功績は評価に値するというのが、後のこの世界での通説である。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加