バトゥー来校

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 ガラン歴178年、アッデラ大陸は大地の半分が砂漠化しているが、16の都市国家が存在していた。そのうちの一つに、テガンロという軍事国家があった。この国のドーヘッジ市にある中等ギフリカッテング・西ドーヘッジの、2年生の学級でのある日の出来事である。  担任教師のガッシヤから「バトゥー・イッピケ」と言われると、大半の生徒はその顔すら思い出せなかった。バトゥーとは1年生のころ、僅か2ヶ月登校したのちに、登校拒否となった生徒なのだ。  寝ぐせの目立つ鳥の巣のような頭髪に、眠たそうな目をしたバトゥーは、なんとなく冴えない顔をしており、猫背が癖になっていた。彼のような存在は、同級生のツルッセ・ビションムのような、教師から叱責されてもいけしゃあしゃあとしているような連中からは、なんともいじめたくなるような対象であったし、実際バトゥーに対するいじめは毎日のように続いた。  ツルッセら4、5人の生徒たちは、休み時間になるとベランダにたむろして、時折バトゥーを呼んだ。すると彼は普段よりいっそう背筋を曲げて挙動不審になりながら、怯えた顔でツルッセらの前に立たされ、思いつくままに容姿の不潔さを罵られ、嘲笑の的にされた。そんな憐憫の対象とされる日々が2週間も続いた後、バトゥーは教室から姿を消し、登校を嫌がって家に篭ってしまったのが1年生の時のことである。
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