一、

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丁度この通りを右折する所で私の大好きだった人が死んだ。 残業明けに車を飛ばして私に会いに来る途中の事故だった。 深い沼に投げ落とされたように目の前が真っ暗で身動きができなくなった。 もがき苦しみながら、楽になりたくて命を絶とうと手首を切ったが、すぐ母に発見されて未遂に終わった。 拒食症になり生活が困難になった私は入院を余儀なくされたのだが、新たに違う病名が加わってしまう。 子宮体癌。 摘出するしかないと、医師は慎重に宣告した。 生きる気力がないのに生きる為の努力をしなければいけないのが滑稽だった。 拒食症で38キロしかない身体に手術等の治療に耐えられる力もないと判断され、拒食症の治療を優先的に受ける事になった。
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