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「お前さ」
シンが目線をテレビにおいたまま言う。
「ん~?」
散らかった服をたたみながら、いつものように軽い返事をした。
「いや…」
「………」
またか、と思った。
何か言いたそうなまま、シンはそれ以上口を開かなかった。
きっと伝えたいことや、確かめたいこと、不安に思うことが沢山あるんだろう。
シンをそんな気持ちにさせているのはまぎれもない自分だと分かっていた。
もう半年。
まだ半年…。
シンに負わせた傷を癒すには、まだまだ時間が足りないみたいだ。
頭では分かっていても、その罪悪感にいつまでも振り回されることが、時々嫌になる。
あたしが悪い。
それは間違いないんだけど…。
時は少しずつ傷を癒す。
それと同時に、あたしの中の罪悪感も、少しずつ……。
あんなことを仕出かした十字架を一生背負って生きる覚悟なんて、
あの頃のあたしには無かったんだ。
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