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視線の先には、20人ほどの団体。
あたし達より後に入ってきたらしく、テーブルの上の料理もまばらだ。
1人1人の顔は、目を凝らせばやっと分かるほどの距離。
まさか、まさか、まさか。
あたしはよく分からない緊張感に全身を包まれていた。
団体を見つめたまま、身体が動かない。
表情も、目線も、なにもかもが止まってしまっていた。
心臓の音は、さっきまでのドキドキとは違う。
これはバクバクだ。
あたしは焦っていた。
「結衣、知ってる人いるんじゃねーの?」
国分くんがビールを口にしながら聞いてくる。
「ねぇ…あのチーム、誰の…?」
生唾をゆっくりと飲んで、小さく言った。
チームリーダーは誰?
『もしも』が頭をよぎる。
あの人のチームだったら、参加していないわけがない。
そうなるとあたしは一体、どうしたら…。
頭がグルグルする。
こんなの、聞いてない。
国分くんはほの暗い店内の奥を、大きな目を出来るだけ細くして凝視した。
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