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少しだけ肌寒い。
ゆるく巻いた腰まで伸びる髪が、風に乗ってふわりと揺れる。
雑踏の中を、足早に歩く。
心臓はトクトクと、いつもより早めの鼓動を鳴らす。
軽いめまいを覚える。
家を出るまで……いや、電車を降りるまでは、まだ躊躇する気持ちがあった。
あたしは何をしているんだろう。
こんなこと…いけないことなのに……。
けれど、見慣れたこの街に降り立つと、とまどいは消え去ってしまう。
蘇るのは、甘い記憶。
綺麗なネオンに照らされる、綺麗な彼の横顔。
思うのは、あの人のことだけ。
早く、会いたい。
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