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ベッドに転がって、彼の腕に頭を乗せると、そのまま抱き寄せてくれた。
うれしくなって顔を見上げたけど、彼の視線はテレビに向けられたまま、無表情だった。
女を抱き寄せたら、男って微笑んだりするもんじゃ無いの?
よく分かんないなぁ。
「そういえば結衣、なんかあったわけ?」
彼の突然の言葉に、あたしはハッとする。
そうだ…伝えようと思っていたことがあるんだ。
でも、いざそれを口にするのは、なぜか躊躇われた。
「ん~…いや…」
曖昧ににごして答えるあたしに、彼が笑いをもらす。
「なにそれ?(笑)
今日じゃなきゃダメみたいに言ってたじゃん」
あ、やっぱりそれを気にして会ってくれたんだ。
明日も仕事な彼が、こんな夜中からの突然の誘いに付き合ってくれたのは
やっぱりあたしがあんなメールしたからなんだな…。
優しいな、と思った。
何を考えてるか分からないし、何も言わないけど、ちゃんと優しい人なんだと思った。
気にしてくれてたなら、言わなきゃ申し訳ないよね。
「あのね…彼氏と…別れたよ
あたしはにっしーが好きだから」
あたしが神妙な面持ちで言うと
「またまた(笑)」
嘲笑う彼。
え?なにこの反応??
「ほんとだよ?!
ほんとに昨日別れたの」
「ハイハイ(笑)」
まともに取り合ってくれない…。
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