704人が本棚に入れています
本棚に追加
/728ページ
それから……
熱気に満ちた体育館から人の波が消えていき、心地よい風が入ってきて……
それでも、私の意識はまだあの音と姿を探して彷徨ってた。
「優愛? 優愛ってば?」
花梨の声に加え、目の前で振られた手のおかげで、ようやく意識が戻る。
まだ心ココにあらずって状態のまま、「何?」と一言だけ返せば、花梨は呆れたような表情を浮かべて、溜息をついた。
それでも、すぐにニヤッとした気味の悪い笑顔を作って、私の両肩に手を置いて言ったんだ。
「ね? 来て良かったでしょ? 生のクラトラなんて、私たちにはなかなか見れないんだからぁ~」
ナマのくらとら?
そういえば、前にも花梨がそんな単語を口にしてたような?
最初のコメントを投稿しよう!