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「それ、なんだっけ?」
素直に疑問を口にすれば、花梨は大げさなほどに首を大きく横に振って二回目の溜息をついた。
「んもぉ~。ホント優愛はヒトの話ちゃんと聞いてないなぁ? 今の超カッコいいバンドの名前だよー」
“claptrap”
一年前の文化祭をきっかけに活動を始めた高校生バンド。
そのルックスと高い音楽性で、この辺りじゃカナリ有名な人たち……らしい。
私は初めて聞いたけど。
でも。人気が出るのは、解る気がするなぁ。
「てゆーか、今までクラトラ知らなかったなんて、もったいなさすぎでしょ? 拓兄通じてサインとかもらえないかなぁ? あっ。できればコウ様のっ!」
両手を胸の前で組んで、キラキラした眼差しを向けてくる花梨。
彼女の言う拓兄っていうのは、明らかに私のお兄ちゃんなんだけど。
「無理無理。お兄ちゃん、そぉいうタイプじゃないもん。たぶん、近づけもしないよ」
第一お兄ちゃんからクラトラの話なんて1回も聞いたコトない。
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