予知するモノ

6/25
前へ
/177ページ
次へ
バタンと車のドアを閉めて深呼吸。 何か緊張する。 あ、でも、ダメダメ。 まず買い物を楽しまなきゃ。 せっかくセールに来たんだから納得のいくモノを買いたいし、 バートンで可愛いヤツあるかな…、 いや、クールに決めようか、いや、そもそもレディースってあるんだっけ? まず、今回買うのはカッコイイ系にしよう、その方が上手そうに見えるって。 なんてグルグル色々考えてたらユミがじっとあたしを見て、 「どうしたの?お財布でも忘れた?お金なら貸すからね」 ニッコリ笑った。 「ち、違っ違うよ…、大丈夫」 慌てるあたしをニコニコ見た後、体育館を指差して言った。 「カンナ、行こう…、良いのは売り切れちゃうかも」 あたし達は走るようにして体育館に入って行った。 「いらっしゃいませ、ごゆっくりどうぞ」 スポーツ用品店のロゴがくっきり目立つ蛍光色のジャンバーを着たお兄さんが微笑む。 広い体育館に、ウェアやブーツや板が所狭しと並んでいて、カラフルな光景に胸が踊った。 すぐ手前のウェアの値札を見ると、50%OFFの赤いシールが見えて、その隣は70%OFFのシール。 な、70%~?良いの~? 「今日と明日のみで、又通常価格に戻ります」 いやいや、良いんだよ。今日、今日買うからっ。 「ね、ね~ユミ?あたし、あっちの端から攻めてみる」 「わかった、じゃ後でね」 あたしは1番奥のコーナーまで突き進んだ。 客は疎ら。 この中のどこかに……。 ううん、とりあえずは探そうよ、探すんだカンナ、バートンを。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加