予知するモノ

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まずはウェア…、ハンガーに掛かっているのを一着ずつ見て歩く。 違う、ちがーう。 ブランド毎に分けてないの?なんて思いながら探して行く。 出逢いの件があるから、近くに来た男の人をチラッと見ては「ちがーう、この人じゃない」と心のアンテナが答える。 きっと、挙動不審。キョロキョロしてたかもしんない。 「あっれ~、おかしいな、 この人でもないし、あの人でもない……、バートンもない…」 結局、お店のジャンバーを着てるお兄さんに聞いた。 「バートンの物はありますか」 お兄さんは眉の端を少し下げて、 「すみません…、バートンのような有名ブランドは置いてません」 そうなの?そういうものなの?なんだ~、残念、残念だよぅ! 結局、ブランドにこだわらずカッコイイ感じのウェアを買う事にした。 「カンナってイメージじゃないけど…、うん、良いんじゃない?チャレンジ精神は認めよう」 ユミは微妙に笑ってた。それから、色々、帽子や手袋、ゴーグルも選んで、大きな袋にたっぷり買った。 会計を済ませて思った事は 【残念!あたしの予知能力も大したことないじゃん、 何だ、 何にもなかった…、なんだよ、運命の出逢いかと思ってたのに~! まぁ、そんなに人生うまく行かないか……、そうだよね、そうだよ…ただの勘違い】 ホントはちょっと寂しかった。 期待した分悲しかった。 「ユミ、お腹空いたね、晩御飯食べてなかった……、どっか行く?」 「どこでもいいよ」 「じゃさ、コンビニで色々買い込んでどっかで語ろう」 もう、こうなったら何もかも忘れて楽しもうよ。 ユミとあたしが集まれば、話しても話しても尽きないガールズトーク。 「コンビニの後、どこ行くの?」 えっと~、あたしが知ってる道。 ゆっくり語れる場所。 あそこしかない。 「愛先【アイサキ】…行こう!」 「遠いよ!?カンナの運転で?」 「な、何で、怖い?」 「いや、怖くはないけど……ってホントは怖いなぁ……、けど……カンナを信じる!カンナの行きたいトコ行こう! カンナこそ大丈夫?」 「うん!大丈夫!運転の練習で行った事あるから」 「そう、なら良いよ」 「よっしゃー、行こうぜぃ」 助手席のユミは凄く笑ってた。はじめは堪えてたみたいだけど途中から声を出して笑ってた。 あたしは何かワクワクしてた。 あたしの運転で遠くにドライブへ行くなんて初めてだったから。
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