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23日は遅番の日直で、帰宅したのは7時頃。
すぐにユミに電話をかけて、「これから迎えに行くよ」と伝えたあたしに、
「珍しいね~、カンナが運転するなんて、大丈夫?道わかる?」と含み笑いしてるユミの声が優しく響く。
「ん?ユミの家までは完璧!あとはナビして~ん」
「ハイハイ、わかったよ…、安全運転でおいで…待ってるね」
クスクスと笑いながらユミが電話を切った。
ユミはあたしのお姉ちゃんみたいな感じ。
きっと手のかかる妹みたいに思ってる。
あたしが幼いんだって。皆にも言われる。
車の運転免許は皆より遅く取ったのもあって、あたしの運転が心配なのか、必ず遊ぶ時は誰かが乗せてくれる。あまりハンドルを握らせて貰えない。
「カンナが運転?マジ怖いんだけど、ハンドル握ってるところ想像出来ん」
そう言う友達もいる。
失礼しちゃうな…、運転上手よって言いたいけど。
道はよくわからない。
ずっと住んでるこの町も、家から離れるとよくわからない。通勤の往復と、よく行く店までの道はわかるけど。
だって、難しい。よくわからん。
でも、今日は運転したい気分なの。
何故かわからないけど、あたしが運転したかった。
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