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「!?」
突然何処からか唸り声のような音が聞こえ、俺は、思わず草むらに隠れた
今の声は犬のようだが…にしてはなんだ…この悪寒は…
俺は冷や汗を拭い息を殺しながら、静かにその音の正体が現れるのを待った
『・・・ん…』
その間に隣の少女が目を覚ましたらしい。まずいな・・・声を上げては…
『・・・ここは…』
「静かにしていろ。気付かれる」
俺は、視線を前に向けたまま絞った声を出した
『・・・』
少女はこちらに視線を向けた後、理解したのか小さく頷き、俺と同じ場所に視線を向けた
その間にも唸り声を発する何者かは、お山型のアスレチックの向こう側に居るらしい
「いったいなんだ・・・」
俺は、じっとアスレチックを見据える
そして現れた
その正体
「犬・・・なわけはないな」
アスレチックの影からぬっと出没したそれは
黒い影がそのまま伸びたような四足歩行の大きな物体だった。夕闇という状況もあるだろうが、まるで全貌が把握できない
その真っ黒な体躯から目立つように牙を瞳を光らせながら、その物体はゆっくりとした足取りで辺りを警戒するように、頭をを左右に振って歩いている
「なんだあれ・・・見つかるとまずいな」
『だからといって、そのままにするわけにもいかない…でしょう?』
少女に考えを見透かされたような言葉を返された
・・・にしても、えらく大人ぶった子供だな
あの獣をそのまま放置してしまえば、確実に大事になるだろう
いや、警察とかに頼めば…その前に襲われる可能性もあるか
なら倒す・・・しかないか。野犬だといいんだが
俺は体勢を整える隙が無いか、怪物の様子を観察することにした
怪『グルルルルル・・・』
怪物は、しばらく周りを徘徊していたが、ゆっくりと俺の居る方向とは反対側に進み始めた
…今だ
俺は素早く少女を服ごと包みこみ小脇に抱えた
『!?』
少女は少々驚いたようだが気にしている暇はない
俺は素早くかつ、音を立てずに草むらを出る
「・・・」
たのむ・・・ばれるなよ…
とりあえず武器になりそうなものをさがしながら、怪物との距離をとる
1歩…また1歩と怪物から離れていく
「武器は・・・あった」
公園の脇に一メートル長の角材が置いてあった
武器…とは言えないが、丸腰よりかはましか
俺は角材を拾い
パキッ
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