僕、死んじゃいました

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僕、死んじゃいました

突然だけど、僕は死んだ。 幼なじみの織枝と待ち合わせをしていた日、横断歩道に赤信号で突っ込んできた車に跳ねられた。 あまりにも突然で、あっけなく…僕は17年の人生に幕を降ろしたんだ。 不思議と自分の死を理解はできた。 受け入れる事はできないけど。 思い残した事なんか、山ほどあるってのに。 なぁ?織枝…。 今僕は自分の葬式をおかしな気分で眺めている。 僕の姿はみんなには見えないらしい。 だから僕は堂々と親族の列に並び、正座をして自分の遺影を見つめていた。 なかなかかっこ良く写った写真を使ってくれたようだな葬儀屋。 狭い部屋に、線香の煙が充満している。 坊主の何言ってるかわかんねぇお経と、木魚のリズム。 僕は…ホントに死んじゃったんだ。 父ちゃんが泣いてる。 兄ちゃんも泣いてる。 いつもバカばっかしてるクラスメイトも、何だか元気がない。 色んな人のすすり泣きが聞こえる中、そこに織枝の姿はなかった。 気になって探しに行こうとした時、僕の体が横たわる棺の蓋が開かれた。 成仏できない訳じゃないけど、実際こうして僕は魂とでもいうのかそういった形で今ここにいる。 もしかしたら、今自分の体に戻れば生き返る事が出来るかもしれない。 焼かれて灰になる前に戻ろう、そう思って僕は僕の体に入ろうとした。 たくさんの花に囲まれている自分の顔を見て…。 「オエエェェェ…!」 僕の顔は見事にスプラッタになっていた。 僕は…グロいのは苦手です。 血とか内臓とか、見れません。 仮に生き返れたとしても、あれじゃ整形どころの騒ぎじゃない。 どっかのヒーロー、愛と勇気だけが友達の脳みそアンコ野郎みたいに顔だけ交換しないと生きてはいけないくらい…グロい。 僕は気を失った。 生身の体じゃなくても気絶するんだ~、とか思いながら。 気がついた頃には、僕はびっくりするくらい小さな壺に収まっていた。 戻るべき肉体を無くしてしまって僕は頼りなく宙をさまよう。 さて、これからどうすりゃいいんだ? 天国とやらに行けばいいのか? …どうやって? 天国までの片道切符(って言うと何かカッコいくね?)なんか、僕は貰ってない。
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