11人が本棚に入れています
本棚に追加
僕が死んでから一週間。
僕は何もせず、ただフラフラして落ち込んでいるだけだった。
タイムリミットはあと三週間。
僕は改めてキラに、この先どうすればいいのかを尋ねた。
織枝に気づいてもらえないんじゃどうする事もできない。
「あんたの魂を呼び寄せたのは織枝よ。気づかない筈はないわ」
キラの言葉にハッとする。
それは初耳だったから。
「え?僕は自分から川に飛び込んだんじゃないの?」
そういえば、あの時織枝に呼ばれたような気がしないでもない。
はっきりとは思い出せないけど。
「普通呼ばれたからって舟から飛び降りるバカいないわよ」
「………。」
僕はバカだけど、こんな理不尽なバカ呼ばわりされたのは初めてだ。
いくらタフな僕でも傷つくよ。
しょんぼりしている僕に、キラは構わず厳しい口調で言う。
「必ず気づいてくれる。気合いの問題よ」
気合いってそんな曖昧な。
まぁ僕の存在が曖昧なんだから仕方ないんだけど。
とにかくもう落ち込むのはやめよう。
死んじゃったんだから、みんなが普通に暮らす事を羨むのは無駄な事だ。
大丈夫…割りきればいいだけの話だ。
何事も前向きに!
それが僕のモットーだったはず。
とりあえず、落ち込んでるようには見えない織枝に気づいてもらう事が先決だ。
織枝を助ける為に…。
あれ?
「そういえば、織枝を助けるって言ったけど。それってどういう意味?」
僕は織枝を励ませばいいんだけどその理由を知らない。
僕が天国に行くため?
それなら『織枝を助ける』なんて言い方はおかしい。
キラは少し眉をひそめると、重々しく口を開いた。
「あと三週間…それまでに織枝と話せなければ彼女は死ぬわ」
「は…?」
嘘だろ?
織枝が、死ぬ?
「どういう事だよ!何だよそれ!意味分かんねえよ!」
僕はキラの胸ぐらを掴み、問い詰めた。
「言ったでしょ?織枝は自分を責めてる。だから…」
自殺。
最初のコメントを投稿しよう!