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僕はそっと、織枝の唇にキスをしようと目を伏せた。
と、その時だ。
「じゃあこういうのはどう?」
全く空気の読めないバカ天使が、かなりいい感じの僕らの間を割って現れた。
びっくりした所の騒ぎじゃない。
「てめぇ…ふざけんなよな!」
初チュウの邪魔をされて、腹が立つやら恥ずかしいやら残念やら。
織枝も訳が分からず顔を真っ赤にしている。
とにかくそのKY天使に怒鳴り散らした。
こいつ…絶対いつかぶん殴ってやる。
キラはニヤニヤしながら僕らを交互に見ると、相変わらずの態度のでかさを体中で示して見せた。
空中で足を組み、腕を組みふんぞり返ってキラは言う。
「何年後かは分からないけど、いつか天の川の下で出会えるようにあたしが何とかしてあげる」
「そんな事できんの?」
僕が歓喜の声を上げると、フフンと鼻を鳴らして自慢気にキラは言った。
「あたしは天使よ?神様の使いよ?なめんじゃないわよ」
その言葉に僕の顔は一気に曇る。
お前が天使らしい所なんか今まで一度だって見た事ないんだけど。
心の中で呟くと、鋭い目付きで僕を睨み付けてきた。
どうやら僕の心が読めるらしい。
どうせなら空気読んで欲しいよ。
キラは僕には見せた事もないような笑顔…正に天使の笑顔で織枝の手を取った。
「約束はできないけど…いつかきっと、夜彦と巡り会える日が来るわ。その日まで織枝?あんたはしっかり生きなさいね」
それは僕が言いたかった言葉なんだけど。
いいとこ取りなんて卑怯だぜ。
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