彼方遠くにある平和

2/9
前へ
/372ページ
次へ
 南に位置する国、テセティアーデ。美しい緑が生い茂る広野を越えたその最南端に、大きな城が存在する。  その城の、ある一層……広く長い廊下を1人の少年が歩いていた。  桃色にも見える赤く短い髪……そこからぴょんと出た一房の髪が愛らしい。 「やっぱり……僕1人で行くしかないか」  少年は深い緑色の瞳を更に深く陰らせながら、長いため息をついた。そしてゆっくり、上へと視線を向ける。  その瞳には、大きな肖像画が映っていた。
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加