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俺はこんなところで死ぬのか。
まだやりたい事がたくさん――
そこで違和感を感じた。
違和感の正体はすぐにわかった。
――記憶が欠落している……?
自分の名前だとか、友達の名前だとか、俺が積み重ねてきた記憶の一部が、一切合切抜け落ちていた。
「記憶がないの……?」
天使も察したようだ。
どうやら絶望のどん底というやつは、何階層もあって、底辺は見えない仕掛けになっているようだ。
自分が誰かもわからずに死んでいく。
記憶が無くとも、生きていたのは確かなんだ。
俺は今までなんの為に生きていたのだろうか。
それさえももうわからない……。
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