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男が向かった先は階段で、何やら荷物が置かれていた。
「…」
「ここに座れって事か…」
「…」
「ん?スケッチブック?」
男に渡されたスケッチブックを見た。
スケッチブックには腕と首、携帯や指が描いてあった。
「何じゃこりゃ」
「どれが良い?って事じゃないの?」
「…」
「ほら当たり」
翔太郎の向かいに座る男は、先程の石と工具を構えながら待っていた。
「あ~、指輪で頼む」
「…」
男はシルバーの輪を取り出し、石と一緒に加工し始めた。
「なぁ」
「?」
「前に一緒にいた男について聞きたいんだが…」
「……、…」
「え?」
男は口を動かしたが、何を話したのかは聞こえなかった。
「じゃあゆっくり言ってくれる?
私が通訳するわ」
「出来んのかよ…」
「女は根性よ!」
今度は亜樹子が通訳をする事になった。
「……、…」
「「きりひこ、のこと…」だって」
「やっぱり霧彦だったのか!」
「あ、また何か言ってる!
えっと…「きりひこは、いない」…」
「やっぱ死んだから…」
「「ころされ…」えぇー!
殺されたから?!」
「…」
男は悲しそうに頷いた。
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